「エバの娘たち」パート1 ― 聖書の女性に学ぶ人生のレッスンサンプル

エバ
ヘビと会話するのは、どう考えてもおすすめできません。アダムとエバの物語が、それをはっきりと示しています。
創世記の冒頭には、単なる創造の物語を超えて、現代にも通じる重要なテーマが描かれています。特に注目したいのは、「影響力」という側面です。
創世記3章では、エバが蛇の言葉に少しずつ引き込まれていった様子がうかがえます。エバははじめ、神の命令──「その木からは食べてはならない」──をちゃんとわかっていました。しかし、へびとの会話が続くうちに思いは揺らぎ、やがてエバの心はすっかりとらえられ、敵の思惑どおりになってしまいました。
聖書は、アダムはだまされなかったが、女はだまされたと語っています。けれども、弱さはエバだけのものではありません。ささいな一言、口にされなかった言葉、心にふと押し寄せる感情──そのようなことで心は揺れ動いてしまうものです。誰もが、影響を受けやすい存在なのです。
同時に、エバは周りの人に影響を与える者でもありました。エバが夫アダムに果実を手渡した、その小さな行動が、人類の歴史を大きく動かすことになったのです。神の命令を直接聞いていたのはアダムでしたが、アダムは神の声ではなく、妻の声を選んだのです。
女性の影響力は、とても大きなものです。聖書にはその力が、時に破壊的に、また時に力強く祝福として働いた例が数多く記されています。
たとえば、アブラムは神の時を待たず、サライの提案に従いました。ヤコブは母リベカの言葉に従い、父を欺きました。
一方で、アハシュエロス王はエステルの言葉に耳を傾け、ユダヤ人は救われました。デボラはバラクとともに戦いに赴き、勝利をもたらしました。
とはいえ、エバの名前は罪に陥った「だまされた女性」として記憶されています。
では、日々の生活の中で、何に心が影響されているでしょうか。敵のささやきか、それとも真理の声か。一時的な感情か、それとも神の言葉にある確かな約束か。
心と思いを守るには、何に耳を傾けるかを意識し、影響されるものを見極める決意が必要です。
また、自分自身がどのような影響を周囲に与えているのかも、見つめ直したいところです。神は、ひとりひとりを「光」として世に遣わしています。内にある光を輝かせることを通して、人々が良いわざを見て、天の父をあがめるようになるためです。
エバの影響が人類を罪へと導いたように、自分の影響も誰かをどこかへと導いていきます。それが神のもとへ向かうものであるように──そのための選択と歩みが求められているのです。
~Anu
この読書プランについて

旧約聖書の女性たちの物語から、現代を生きる私たちへの生き方のヒントを学びましょう。
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