デボラとヤエル

旧約聖書には、「女の子のように戦う」ことの強さと美しさを示してくれる二人の女性が登場します。

デボラとヤエルです。

デボラは女預言者であり、イスラエルをさばいていた士師でした。彼女はイスラエルの軍とともに出陣することになり、戦いへと向かいました。戦いで敵軍は敗れましたが、ただ一人、司令官シセラだけが逃げ延びます。しかし、それも束の間のことでした。シセラはヤエルの天幕に逃げ込み、そこで、こめかみを打ちぬかれて命を落としたのです。

この物語、最高ですよね？ 悪は倒され、正義の女性たちが勝利を収めたのです。

戦いの後、デボラは神をほめたたえる勝利の歌をうたい上げました。神がご自身に与えてくださった役割に感謝し、そしてまたヤエルの働きをもたたえて神に感謝したのです。

なんと新鮮なことでしょう。

それまで聖書に登場した女性たちの関係は、決して円満とは言えませんでした。サラとハガルの確執、レアとラケルの姉妹争い……覚えていますか？ では、デボラは彼女たちと何が違ったのでしょう。

デボラは他の女性と自分を比べることなく、神さまがどのように自分を形づくり、どんな役割を与えてくださっているかに信頼していました。ヤエルが登場したとき、脅威に感じてもおかしくなかったのに、デボラは彼女の勝利をともに喜んだのです。

デボラとヤエルのような関係は、聖書の中でも特別です。そして現代でも、女性同士の関係に悩むことは少なくありませんが、そうでなくてもよいのです。

私たちも、他の人と比べるのではなく、神さまが備えてくださった自分のレーンで、自分のレースを走りましょう。誰かが自分よりも上手に見えて不安になったときは、その人の歩みをともに喜びましょう。嫉妬に駆られそうなときこそ、励ましの言葉をかけるのです。

賛美の歌を作る必要はありません。電話一本、メッセージ一通、SNSでのひと言でも十分です。しかも、それは大きな戦いの勝利や劇的な出来事でなくても構わないのです。

お隣さんの庭が美しかったら、それを伝えましょう。礼拝チームでソロを歌ったあの子に「すてきだったよ」と声をかけましょう。お料理上手な友達がいたら、心の中で思うだけではなく、口にして伝えましょう。

あなたはあなたの役割を果たして、まわりの人がそれぞれの務めを果たせるように励ましましょう。ともに歩むなら、私たちはきっと多くの戦いに勝利できるでしょう。

～ Anu