イエスが話された物語Sample

第3話：　二人の息子

このたとえ話のおかげで、「放蕩（ほうとう）」という言葉が多くの人の日常会話で使われて続けています。これは二人の息子の話ですが、この話に含まれる真実は、どの時代も変わらず、娘たちにも同じく当てはまってきました。

これはルカの福音書15章に書かれた、「失われたもの」のたとえ話の内の3つ目の話です。前の二つのたとえ話の中で、イエスが関わった群衆の文化において、いかに失われた羊や無くした金貨を粘り強く探すかについて説明しました。イエスが言いたかったのは、神はご自身の子（信者）がご自分から離れて行った時には簡単にあきらめず、その子がご自分の元に戻って来た時は、大喜びされるということです。

とんでもない要望

もし自分がだれかの遺産の相続人になっている場合、その人が早く死んでくれるように願ったりすることはとても悪いことです。もっと悪いのは、その愛すべき相手がこの世を去る前に遺産をもらえるか尋ねることです。この話の冒頭に出てくる息子の要望は、聴いている人びとの関心を一気に引いたことでしょう。

「また言われた、『ある人に、ふたりのむすこがあった。ところが、弟が父親に言った、「父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください」。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった』」（ルカの福音書 15章11－12 節）。

この傲慢で礼儀知らずの次男の言動と、父親がその要求を飲んだことのどちらの方がとんでもないことでしょうか。正直に言いましょう。もし、私の子どもたちが、私の資産の一部を生前分与して欲しいと言ってきたら、私たちの関係は相当悪くなることは間違いありません。

イエスのたとえ話は、私たちの生活の中心点を強調しています。それは神への愛を表すときには、義務感からではなく、感謝の心から自由に愛するべきだということです。それは私たちが神への愛を十分に表せない、という「失敗の可能性」も多いに含んでいます。つまり神からすると、大きなリスクを伴わない限り、それは本当の愛とは言えないということです。