私の終わり ― そこからはじまるサンプル

親愛なる私へ
親愛なる私、
物心がついて以来、ずっと付き合ってきたな。「兄弟よりもたのもしい友もある。」っていう聖書の言葉を聞いたことがあるが、それが自分たちのことだったとは思わない。それでも、あれだけべったりだったのは事実だ。これまでいろんな人と親しくなってきたが、君との関係は格別だったよ。
思い返すと、私は君をかなり優遇してきた。何度も何度も、他の何よりも君を優先してきたと思う。違うか?
子供の頃、君が列の一番前に立てるようにしてきたし、クッキーがあれば一番大きいやつを取ってやった。駐車場でもベストポジションを探し、部屋に入れば一番快適な椅子を譲った。
学校でも、君の好みに敏感に反応して、欲しがるものはすぐ追いかけた。君は注目されるのが好きだったから、そのためには手段を選ばなかった。今もそうだろう?インターネットがある今では、見せ方のバリエーションがさらに増えた。投稿するのは、君が最も映えてる写真ばかり。誰が見ても、理想的な人生を送っているように見えるはずだ。コメント欄、見たことあるだろう? つらかったとき、苦しかったとき、それがバレないように必死に隠してきた。とにかく、君の機嫌を取ることに全力をそそいできた。それが正しいと信じてた。
もちろん、小さな子供だった頃は、もっと簡単だった。ちょっとしたわがままで、物事は大体片付いた。でも年齢を重ねるにつれて、君の要求は厄介になってきた。控えめに見せながらも、勝ちたい、思い通りにしたい――その両立はなかなか骨が折れた。正直、しんどかった。
それに、君は現実的なことにまるで興味がない。請求書や責任、明日のことすら知らん顔だ。誰かにキツいことを言ってしまっても、何の警告もなかったし、その言葉が取り返しのつかないものになるなんて、君は一度も教えてくれなかった。
君のことを嫌いになったわけじゃない。でも、もう君のために生きるのはやめようと思う。「私を満足させれば、君も幸せになれる」――君はいつもそう言ってた。でも、それが通用したことなんて、一度でもあったか? 結局、幻想だったんだよ。
私はずっと、君にハンドルを握らせてきた。でももう、それは終わりにする。「こっちへ進め」って君は言い続けたが、たどり着いた先はいつも行き止まりだった。だから私は、別の道を選ぶことにした。それは狭くて、険しくて、選ぶ人は多くない。でも、その先には、本物の、満ち足りた命があると信じてる。
正直なところ、この道を進むには、君を連れていくわけにはいかない。
だから――これでおしまいだ、私。
さようなら、
私より
この読書プランについて

この読書プランは、『Not A Fan』(好きじゃない)の続編にあたるカイル・アイドルマン(Kyle Idleman)の著書をもとにしています。あなた自身の「終わり」にたどり着くようにと招かれています。なぜなら、そこで初めて、イエスが内側から私たちを新しくしてくださる生き方を受け入れられるからです。
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