ヒーローたちサンプル

６．犠牲 ヨナタン 人間の生々しい欲望を知りたいと思うなら、政治運動に関わればいいでしょう。地位が高ければ高いほど、政治的な取引はもっと切実で激しいものになるでしょう。アメリカのニクソン大統領の下で働いていた工作員の一人はある時、「この街では、何人の人間を破滅させたかによって価値が付けられる」と言いました。 君主制の社会の中で、王様になることのプレッシャーと憧れについて想像してみてください。選挙に立つ必要がなく、最高の権力と富が自分のものとして保証されるのです。サウル王の息子ヨナタンは、本来王になるはずでした。しかし、預言者サムエルは、ダビデをヨナタンの父の後継者として聖別し王としました。 ヨナタンは、ダビデにとって誠実で忠実な友人であっただけでなく、自分の王位を喜んでダビデに譲ったという点で私の英雄です。彼はダビデにこう言いました。「『もし父が、あなたに害を加えようと思っているのに、それをあなたの耳に入れず、あなたを無事に逃がしてあげなかったなら、主がこのヨナタンを幾重にも罰せられるように。主が私の父とともにおられたように、あなたとともにおられますように。もし、私が生きながらえておれば、主の恵みを私に施してください。たとい、私が死ぬようなことがあっても、あなたの恵みをとこしえに私の家から断たないでください。主がダビデの敵を地の面からひとり残らず断ち滅ぼすときも。』こうしてヨナタンはダビデの家と契約を結んだ」（サムエル記第一 20章13－16節）。 あなたは、自分が本来就くはずだった地位に、代わりに就いた人の味方になれますか。また、自分の父親が悪いことをしていると知った時、それに反対することができますか。自分が望んだり、期待していた役割より小さい役割を割り振られた時、それが神の御心だと分かれば受け入れることができますか。他の人の利益のために、自分の欲望を犠牲にすることができますか。