使徒言行録 7:20-60

使徒言行録 7:20-60 新共同訳

このときに、モーセが生まれたのです。神の目に適った美しい子で、三か月の間、父の家で育てられ、 その後、捨てられたのをファラオの王女が拾い上げ、自分の子として育てたのです。 そして、モーセはエジプト人のあらゆる教育を受け、すばらしい話や行いをする者になりました。 四十歳になったとき、モーセは兄弟であるイスラエルの子らを助けようと思い立ちました。 それで、彼らの一人が虐待されているのを見て助け、相手のエジプト人を打ち殺し、ひどい目に遭っていた人のあだを討ったのです。 モーセは、自分の手を通して神が兄弟たちを救おうとしておられることを、彼らが理解してくれると思いました。しかし、理解してくれませんでした。 次の日、モーセはイスラエル人が互いに争っているところに来合わせたので、仲直りをさせようとして言いました。『君たち、兄弟どうしではないか。なぜ、傷つけ合うのだ。』 すると、仲間を痛めつけていた男は、モーセを突き飛ばして言いました。『だれが、お前を我々の指導者や裁判官にしたのか。 きのうエジプト人を殺したように、わたしを殺そうとするのか。』 モーセはこの言葉を聞いて、逃げ出し、そして、ミディアン地方に身を寄せている間に、二人の男の子をもうけました。 四十年たったとき、シナイ山に近い荒れ野において、柴の燃える炎の中で、天使がモーセの前に現れました。 モーセは、この光景を見て驚きました。もっとよく見ようとして近づくと、主の声が聞こえました。 『わたしは、あなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』と。モーセは恐れおののいて、それ以上見ようとはしませんでした。 そのとき、主はこう仰せになりました。『履物を脱げ。あなたの立っている所は聖なる土地である。 わたしは、エジプトにいるわたしの民の不幸を確かに見届け、また、その嘆きを聞いたので、彼らを救うために降って来た。さあ、今あなたをエジプトに遣わそう。』 人々が、『だれが、お前を指導者や裁判官にしたのか』と言って拒んだこのモーセを、神は柴の中に現れた天使の手を通して、指導者また解放者としてお遣わしになったのです。 この人がエジプトの地でも紅海でも、また四十年の間、荒れ野でも、不思議な業としるしを行って人々を導き出しました。 このモーセがまた、イスラエルの子らにこう言いました。『神は、あなたがたの兄弟の中から、わたしのような預言者をあなたがたのために立てられる。』 この人が荒れ野の集会において、シナイ山で彼に語りかけた天使とわたしたちの先祖との間に立って、命の言葉を受け、わたしたちに伝えてくれたのです。 けれども、先祖たちはこの人に従おうとせず、彼を退け、エジプトをなつかしく思い、 アロンに言いました。『わたしたちの先に立って導いてくれる神々を造ってください。エジプトの地から導き出してくれたあのモーセの身の上に、何が起こったのか分からないからです。』 彼らが若い雄牛の像を造ったのはそのころで、この偶像にいけにえを献げ、自分たちの手で造ったものをまつって楽しんでいました。 そこで神は顔を背け、彼らが天の星を拝むままにしておかれました。それは預言者の書にこう書いてあるとおりです。 『イスラエルの家よ、 お前たちは荒れ野にいた四十年の間、 わたしにいけにえと供え物を 献げたことがあったか。 お前たちは拝むために造った偶像、 モレクの御輿やお前たちの神ライファンの星を 担ぎ回ったのだ。 だから、わたしはお前たちを バビロンのかなたへ移住させる。』 わたしたちの先祖には、荒れ野に証しの幕屋がありました。これは、見たままの形に造るようにとモーセに言われた方のお命じになったとおりのものでした。 この幕屋は、それを受け継いだ先祖たちが、ヨシュアに導かれ、目の前から神が追い払ってくださった異邦人の土地を占領するとき、運び込んだもので、ダビデの時代までそこにありました。 ダビデは神の御心に適い、ヤコブの家のために神の住まいが欲しいと願っていましたが、 神のために家を建てたのはソロモンでした。 けれども、いと高き方は人の手で造ったようなものにはお住みになりません。これは、預言者も言っているとおりです。 『主は言われる。 「天はわたしの王座、 地はわたしの足台。 お前たちは、わたしに どんな家を建ててくれると言うのか。 わたしの憩う場所はどこにあるのか。 これらはすべて、 わたしの手が造ったものではないか。」』 かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。 天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」 人々はこれを聞いて激しく怒り、ステファノに向かって歯ぎしりした。 ステファノは聖霊に満たされ、天を見つめ、神の栄光と神の右に立っておられるイエスとを見て、 「天が開いて、人の子が神の右に立っておられるのが見える」と言った。 人々は大声で叫びながら耳を手でふさぎ、ステファノ目がけて一斉に襲いかかり、 都の外に引きずり出して石を投げ始めた。証人たちは、自分の着ている物をサウロという若者の足もとに置いた。 人々が石を投げつけている間、ステファノは主に呼びかけて、「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」と言った。 それから、ひざまずいて、「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」と大声で叫んだ。ステファノはこう言って、眠りについた。

使徒言行録 7:20-60のビデオ