彼は今の今まで、人間の分をわきまえずにのぼせ上がり、海の波に命令を下し、高い山を天秤に載せようとすら考えていたのに、地面に投げ出され、担架で運ばれる始末であった。こうして神の力は万人の前に明らかにされた。 この神を畏れぬ者の両目からは蛆がわきだし、激痛にさいなまれつつ、その肉は生きながらに崩れ、全陣営がその腐臭に悩まされた。 先刻まで、天の星をもつかみ取ると豪語していた男なのに、立ちこめる耐え難い悪臭のために、だれも彼を運ぶことができなくなった。 こうして、さすがの彼の高慢も完膚なきまでに砕かれ、神の鞭の一打ちごとに痛みも増し加わり、神の力を思い知ることとなった。 ついに、彼自身もその悪臭に耐えられなくなって、こう告白した。「神に服従することは正しく、死すべき者が、思い上がってはならないのだ。」
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